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欠けた世界の行く末 -5.4-

おはようございます。

花粉症のせいか鼻水が止まらずに苦労しています。
しかし、問題はそれではなく……鼻をかみすぎて鼻血がでて止まらないこと……orz
貧血で倒れそうなくらい出ました。

いや、マジで。

「なんじゃ、こりゃぁぁぁ!?」て叫びたくなるくらいです。
途中でティッシュでは埒が明かなくなったんでタオルに変更したら、タオルが鮮血で真っ赤に染まりました。

久々に焦りました。
ン年ぶりで救急車のお世話にならないといけないかと覚悟したくらい(理沙子さんが若かりし頃ぐらい昔に鼻血で救急車で病院に運ばれた実績を持っていますwww)

で、更新は恋姫でござーい。
しばしのお付き合いをー^^

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 その頃、北郷一向はというと――

 流浪の旅にでた北郷達が見た民の暮らしは酷いものだった。
 黄巾党の勢いが収まらないままに、今度は董卓討伐軍が決起したことで食料を根こそぎ徴収され、日々の食事にすら事欠く状況になっていた。
 誰の為の討伐軍なのか?
 各地を放浪しながら、民を助けまわっていた北郷達は現実を突きつけられる。

「……なんでや……董卓いう奴を倒して弱い者の生活を守る討伐軍が民を苦しめてどないすんねん!!」
 張遼は血染めの拳を握り締めて、辛辣な言葉を吐き捨てた。
 拳には血がついているのは怪我をしたのではなく、食料調達に来ていた討伐軍の兵士を殴り倒したからだった。
「張遼、これからどうするんだい?」
 北郷は分かりきったことを敢えて聞く事にした。
「そんなん決まってるやんか、反董卓連合軍に殴りこんで、こんな本末転倒なこと辞めさせる!!」
「でも、どうする気? 根無し草の俺達がいきなり訪ねたところで会ってもらえないよ? 仮にも向こうは偉いさん方だぞ。それに噂じゃ天子の密書を受けてるらしいしね」
「!! 一刀はこの状況を見て何も思わへんのか!? 絶対、こんなん間違っとるやろ!!」
 張遼は北郷が後ろ向きな答えをするものだから、自分の事を分かってくれていると思っていただけに余計に腹が立った。
 そんな張遼を見かねて、黙って北郷の後ろに控えていた趙雲が口を挟んできた。
「張遼殿は何をイラついておいでなのだ? 主は張遼殿の無茶を諌めているだけで、この惨状に心を傷めていないはずはないのはご自身も理解しているだろう」
「趙雲は黙ってや!! 一刀どないすんねん!! 行くんか行かへんのか!?」
「行くよ。張遼と一緒に行動するって決めてるからね。星、いいよね?」
「御意」
 北郷が趙雲の真名を呼んだ時に、張遼のこめかみがピクッと引きつったのを趙雲は見逃さなかったが北郷は全く気づいていなかった。当の張遼すら自覚が無かったから仕方の無い事だが。

「……張遼殿。こういう事は言いたくはないが仕方がない、そろそろ釘を刺しておく」
「なんや、いきなり」
「主と貴殿の間に何があったかは知らぬが、それは私が居ないときの事。そろそろ態度を明確にすべきではないのかな? 村を出て数ヶ月経つ、主の御身が危険だった事も一度や二度ではない。私の堪忍袋にも限界があることを覚えておいたほうが良い」
「……わ、わかっとるわ!! アンタに迷惑はかけん!!」
「そう願っている」
 張遼は趙雲の指摘に動揺を隠し切れない。北郷が違う世界から来たといって、張遼ではない張遼を知っているという。その北郷が張遼に向けてくる好意の気持ちを分かるからこその戸惑いや嫉妬が張遼にはあり、それが未だ真名を許していない現状なのだ。
「おーい、二人とも早く行こう(連合に華琳がいれば……早い気もするけどいい機会かもしれないな……)」
 先に歩き始めていた北郷が促すと二人の間に渦巻いていた緊迫した空気が薄れていった。
 北郷も一度きりの悪夢の事を忘れたわけではなく、張遼との関係をどうするか考え続けていた。
 どんな小さなことでも未来に関係のないことなどなく、全てが未来へと通ずる道なれば北郷があの時に見た悪夢もまた未来の一つなのかもしれないと懸念していたのだった。
 歴史が証明している張文遠は誰の元で光り輝いたのかを。
(……俺個人の気持ちなんて些細なことだ……)
 北郷は考えつくしたことを実行に移す時が来たのだと自分に言い聞かせた。

――同刻

「華琳様、袁術軍が付近の民から兵糧を掻き集めているようで、不穏な空気が漂っております」
 夏侯淵が報告を済ませると曹操が走らせていた筆を止める。
「桂花!」
「はい、お傍に」
「頼んでおいた事は調べてくれたかしら?」
「御意。軍律が守れている軍は少なく、連合軍とは名ばかりの軍とは呼べぬお粗末なものです」
 荀は当然我が軍は抜かりはないとばかりに胸を張っている。
「……そう。これではどちらに非があるのか分からなくなるわね。明日にでも進軍を進言してさっさとカタをつけないと面倒なことになるわね」
 曹操はそう告げると二人に下がるように告げ、一人考えに耽った。
「……語るに値する人間はいないか……(まあ、それはそれで楽なのだけれど)」

 諸侯が集結すると全軍の指揮を取る総大将が必要になるのだが、その人選において誰もが面倒をさけていた所に袁術が名乗りでたのだ。
 普通であれば悪評のある袁術に誰も任せようとは思わないが、その袁術をコントロールする総大将になりたい筈もなく、なし崩しに名門であることで総大将に決まった事が此処に来て足枷になってきていた。
 総大将の資質の無い者に私欲もあふれる諸侯達。集結してからというもの小競り合いは頻発しているが決戦はなく、厭戦気分が広まりつつあった。

 翌日に曹操が諸侯を招集し、総大将袁術の戦略会議が行われようとしていた。

「妾は眠いぞ、七乃」
「現状を理解していないお嬢様の発言は可愛いですが、少しだけ我慢してくださいねー」

 袁術と張勲が上座で騒いでいる傍に無言の孫策が控えており、諸侯の集合を待っていた。
(……曹操が動いたのね……面倒なことをしてくれるわね。袁術の愚行で連合が瓦解してくれればと思ったけど、上手くいかないわね……)
 孫策の思惑を他所に諸侯が次々と集まってくる。
「どうするんだ……逆賊董卓討伐が一向に進まぬではないか……」
「張超殿、落ち着け袁家にまともなことを望んでもしかたないだろう」
「公孫賛殿の言い分ももっともだが、袁術殿の総大将に反対しなかったのは貴殿も同罪であろう」
「全くじゃ、若いもんはすぐに愚痴をたれる」
 張超、公孫賛、喬瑁、韓馥の面々が各々の思いを口に出し、現状の危うさが見て取れた。
 そんな中でも劉備は参戦兵力が少ない為公孫賛の一部隊として列席していたが、誰からも意識されていないが民を思う気持ちは誰にも負けてはいなかった。
「皆さん、喧嘩はやめてください。ここに集まったのは世の中を良くするためじゃないですか!」
 正論ではあったが、利を求める諸侯には馬鹿げた叫びでしかなかった。
「ならば、お前があの水関を落とせばいいではないか!! たかが千にも満たぬ兵力しか持っておらぬくせに大きな口を叩くな、無礼だぞ!!」
「そうだな、我等の軍勢の尻馬に乗っておるくせに生意気だ」
 孔伷と張楊は劉備を見下すように吐き捨てた。
「う、うぅぅ……」
 劉備は関羽を手で制しながら唸ることしか出来ないでいたのは、少数兵力である事と連合軍を利用していることは事実だったからだ。
 だが、そんな劉備を擁護する声が響く。
「貴方達小人に比べれば、利用できるものは利用してでも己が大望を果たそうとする劉備の方が素晴らしいわね。それに兵力だけが戦力ではない事を、近い将来知る事になるわ。ええ、とても近い将来にね……」
 曹操が一番遅れて入ってくる。
 諸侯達は苦々しい表情を浮かべてそそくさと散っていく。曹操が切れ者であることは何度かの集まりで皆が理解しており、その手腕を利用すべく袁術が総大将補佐に任じた事が兵力に勝る諸侯を抑える力になっていた。連合にいるから美味しい思いが出来ると感じている諸侯達は表面上だけは協力的なのだ。

「はあぁ……」
 曹操がこれ見よがしな溜め息をついてみせた後、単刀直入に話を切り出した。
「袁術殿、討伐軍として連合組んだものの成果もなく、この地に駐屯して久しく兵糧も心許なくなっており、理不尽な徴収をしている軍もあると聞いております。ここは全軍で総攻撃を水関にかけ一気に洛陽に雪崩れ込むが上策かと思いますが、如何か?」
 端々に諸侯への毒を織り交ぜるが恥いる者は一部を除いておらず、寧ろ曹操の上奏を嘲笑う者の多いこと。
「七乃どうなのじゃ?」
「曹操さんの仰ることはもっともなんですけど、水関も天下の要害ですし、サボってらっしゃる方もいるので難しいかと……でも、手はなくはないですよ」
「それじゃ! それでゆくのじゃ」
「あぁん、内容も聞かずに指示を出すその無謀さ、ゾクゾクしちゃいます~」

「ご、ご報告致しますっ!」
 警備兵が血相を変えて飛び込んできた。
「敵襲か? 董卓軍が関から出てきたのか?」
「い、いえ、そうではないのですが……」
「ハッキリなさい。情報を正確に伝える事も出来ないなら兵士など辞めてしまいなさい!」
 慌てていた兵士は曹操の圧力の前に萎縮してしまい言葉を失った。そんな中、警備兵の背後から三人の男女が諸侯の前に現れた。

「そないな覇気をぶつけたったら何もしゃべられんて」
「張遼殿が言っても説得力がないがな」
「失礼致します。連合軍の方々に申し上げたい事があり参上致しました。どうかお聞き届け願います!」
 張遼、趙雲が堂々としているものの話を切り出さないのは警備兵の放つ殺気を感じ、周囲に威圧をかけていたから。
 そんな中で北郷が袁術に向かい、礼をとり陳情を述べた。

「なんじゃ? 申してみよ」
 その場にいる全員が呆気に取られる中、鷹揚に対応する袁術。
「ありがとうございます! 連合軍の過酷な兵糧調達に民が困っています。どうか、今すぐお止め下さい。皆さんの敵は民ではありません」
「なぜじゃ? 民の代わりに董卓をやっつけるのじゃから兵糧ぐらい構わぬであろう?」
 北郷の嘆願を一蹴し、悪びれもなく兵糧を調達すると言い切る。
「お嬢様、このお方が何者か聞かないでいいんですか?」
 張勲が袁術に囁く。
「おぉぉ、そうじゃの。変わった服を着ているが、どこの太守なのじゃ?」
 袁術の言葉で周囲の諸侯達もようやく我に返り、ヒソヒソと会話をし北郷達を舐め回すように観察し始めた。

「……官職にはついていません。義勇兵として諸国を回っております」
 北郷の言葉で大人しかった諸侯達が騒ぎ出す。

「無位無官の雑兵風情が無礼だぞ!」
「全くだ。天下の義を正す我らに意見するなど何様のつもりだ!」
「大体、警備兵は何をしているのだ? 怠慢にも程がある」
「この不届き者をさっさとつまみ出せ!」

 罵詈雑言の中、趙雲は目を閉じ北郷の背後に控え、張遼は顔が引きつって爆発寸前。
「袁術様、どうか周囲の雑音に惑わされずご賢察下さい!」
 北郷は平身低頭、跪いて袁術の答えを待つ。

 その様子を静観していた曹操は北郷に興味を持ち始めていた。
(この男……今、私達が失ってはいけない信を理解している)
 曹操は夏侯淵に目配せをすると北郷に視線を戻した。

「袁術殿に直接話しかけるな! 我ら諸侯を無視するとはいい度胸だ! 誰かこやつらを無礼討ちにせよ!!」
「ハッ!!」
 警備兵が大挙して押し寄せる。

「待ちなさい!」
 曹操が一喝し警備兵を制した。
「曹操殿はこのような無礼者を庇われるのか?」
「はっ、笑わせるわね。彼が無礼者なら貴方は愚か者ね」
「曹操殿とて今の言葉は聞き捨てなりませんぞ! 曹操殿とて連合軍を離れては何も出来ないのですぞ!!」
「何を言い出すかと思えば恫喝しているつもりかしら? 烏合の衆の兵を抱えた所で意味を成さない事を理解出来ない程、腐っているのかしら? それとも弱き民から理不尽な兵糧の徴収に忙しくてそれどころではないのかしら?」
「な、な、なんだとぉ! 無礼者!! 宦官の系譜の者が無礼だぞ!! それに五千足らずの兵力で何が出来るというのだ! 所詮我等の力頼みであろう!!」
「そうね……貴方のいう無礼者の軍は、こんな事が出来るわね」
 曹操が入り口に視線をやると、計ったように兵士が飛び込んできた。
「か、韓馥様! 一大事であります! 我が軍が曹操軍に急襲を受け壊滅的被害を受けました!」
「そ、曹操! 貴様反旗を翻す気か!?」
「何を言うかと思えば……。売られた喧嘩を買っただけよ! 貴方の言うたかが五千の兵がね。ご自慢の兵だったのでしょう? 3万の兵が全員、手加減でもしてくれたのかしらね?」
「ぐぅ……。袁術殿! このような輩を許してよいのですか!?」
 韓馥は総大将に恥も外聞もなく泣きつくものの周囲も含めて冷たい反応で、泣きつかれた袁術が一番酷い扱いで韓馥を無視していた。

「さて、愚か者は捨て置き、張勲が言う戦略を聞きたいものね」
「そうじゃ、言うてたもれ」
「そうですね~。簡単な話しなんですよ。向こうには将が少ないんで、こっちが二方面作戦で攻めればいずれ戦線が瓦解しますよ(それまでこちらの兵糧が持てばですが)」
「簡単ではないか!すぐにかかるのじゃ」
 袁術は喜んで指示するが諸侯は浮かぬ顔。どうのように兵力を分けるのか? 本隊から外れての補給はどうするかと考えていたからだ。

「(我が身の保身だけか……)袁術殿、私達が遊撃軍として洛陽の南方から攻めるわ。本隊はゆっくりされるといい。北郷とか言ったか? 一緒に来なさい。話があるわ」
 曹操は北郷の返事を待たずに襟首を掴み引きずって行く。細身体のどこにそんな力があるのかと思うぐらい強烈なもので、北郷は諦めてされるがままになっていた。
(どこにいても華琳は華琳か……)
 ニヤニヤしていたら、曹操に見咎められて、掴んでいた襟首を放される。

 ゴチンと盛大な音を立てた。

「痛った!! いきなり放すなよ!」
「気持ち悪い笑い声出すからでしょ! っていうか、自分で歩きなさい!」
「無理矢理引っ張っておいてそりゃないだろ? 張遼も星もそう思うだろ?」
 北郷は仲間に同意を求めるが返ってきた答えは無情だった
「いやぁ、ウチでもあの笑い声は引くわ」
「主、流石に拙いですな」
「ち、ちょ、マジで? って言うか声でてた?」
 北郷達が笑顔で交わすやり取りに曹操はポツリと呟く。
「いい部下を持ってるわね……」
 曹操は呆れながらも北郷達の絆を見て取った。同時に歪みさえも。

「先ずは私の陣まで戻るわ。秋蘭も隠れてないで出てきなさい」
「ハッ。楽しそうでしたので邪魔してはと思いまして」
「余計な気を使わなくていいわ。それより、上手くやったようね?」
「姉者にかかれば容易い事かと。予定通りに進んでおります」
「なら、あとはこの三人を迎える酒宴を用意するように桂花に伝えておいて」
「御意」
 姿を見せないまま秋蘭と呼ばれた影は気配を消した。声からすると夏侯淵のようだったが、北郷達には分からない事だった。


 曹操は三人を賓客として迎えて酒宴を開き、開口一番こう言った。
「どうして、あの場に乗り込んで来たのかしら? 首を斬られても文句を言えなかったのよ」

「斬られないよ、俺は」
 北郷が珍しく断言する。
「大した自信のかね。理由を教えて貰えるかしら?」
「理由は三……いや、二つかな。一つ、袁家の2人はどこか甘い。まあ、1人はあの場にいなかったけどね。2つ、張遼と星が勝てない相手は俺の知る限り、この世に1人だけでその人間はあの場には居ないのは分かっていた。だから、安心して乗り込めたよ」
「……因みに言いかけた3めは?」
「まあ、蛇足だけど、曹孟徳が総大将であれば、こんな真似は出来なかったかな」
「それはどうしてかしら?」
「守るべき民から理不尽な徴収をする筈はないから、俺達がこんな真似をする状況が生まれない。だから、『しない』じゃなくて『出来ない』んだ」
「そう、面白い意見ね。けど、一つ思い上がりがあるんじゃないかしら?」
「なにが?」
「貴方、後ろの二人がご自慢のようだけど、大陸は広いわよ」
「そうだね。でも事実だよ。それこそ、曹操様ご自慢の【魏武の大剣】夏侯惇様が相手でも勝てるとは断言出来ないけど、負けることはないよ」
 北郷は珍しく饒舌で、自分の失言に気がついてなかった。
「……魏武……本当に面白いわ。なら、試してみましょう。勝った方が負けた方を自由に出来るというのはどうかしら?」
 曹操の目に危険な光が灯る。
「いいよ。張り――いや、星、お願い出来るかな?」
「御意」
 北郷はその危険な光も偽りだと気がついていた。それは理屈ではなく直感だったが確信めいたものだった。
 それでも張遼と言えなかったのは、例の悪夢のせいなのだろう。
 趙雲がスッと歩み出ると自慢の槍を利き手に持ち直し相手である夏侯惇を見つめた。

「春蘭!!」
「お任せ下さい! 華琳さま!」

 趙雲に向かって夏侯惇が勢いよく飛び出して矛を交える。鍛え上げられた武がぶつかり合う。
 槍と大剣。
 普通に考えれば、間合いの鬩ぎ合いからだと思うのだが、普通ではない二人はいきなりトップギアでの打ち合いに入る。
 夏侯惇が無謀ともいえる踏み込みで肉薄すれば、趙雲も不利だと分かりきった接近戦を堂々と受けて立つ。

「……一刀、曹操を知ってるんか? あんな事言うんはらしくないで……何を企んでるん?」
 北郷がらしくないことをしていると気がついたのはやはり一番長く一緒に居る張遼だった。
 それでも今まで口を挟まなかったのは、互いの信頼感があったから。
「……ごめん」
「な、なんやいきなり――」
 そんな関係を裏切るかのように北郷は張遼の目を見ずに謝罪の言葉を吐き出した。
 その言葉に嫌な感じを受けた張遼が北郷に食って掛かろうとした時に北郷が誰もが予期せぬ行動をしたのだ。

「アーッ! 曹操様が服を脱ぎ始めた!」

 北郷の馬鹿げた叫びで、歴史に残る名将同士の闘いが意外な決着を見る事となる。
「な、なんだとぉ!? 貴様ぁ、華琳さまに何をし――」

 バキンッ!

 曹操のほうを振り向いた夏侯惇の冗談みたいな隙を趙雲が見逃す筈もなく、大剣を弾き飛ばし槍の穂先が夏侯惇の喉に突きつけられる。
「ひ、卑怯だぞ! 貴様ぁぁ!!」
「春蘭の負けね」
 夏侯惇が吠えるが、曹操は呆れながらもアッサリと負けを認める。
「戦場でなかったことに感謝すべきかしら?」
「白々しいね。戦場なら夏侯惇はあんな雑音に耳なんて貸さないよ」
「益々惜しい事をしたわ。で、何が望みかしら?」
 曹操は意味ありげな笑みを浮かべると約束だとばかりに北郷に望みを言うように促した。
 
 北郷は、一瞬躊躇うも迷いを振り切って言葉にしたことは――

「……張遼を君の部下にして欲しい。待遇は夏侯姉妹と同等で」
 仲間である張遼を差し出すという言葉だった。
「な、なんやて!! 阿呆いいなや、ウチを無視して何言うてんねん!」
 これに驚いたのは曹操ではなく、張遼本人。
 怒り心頭よりも先に『何故だ!?』という思いが先走り北郷に掴みかかろうとした。
「静まれ!! 張遼!!」
 文句を言う張遼を一喝する曹操。
「最初の決まり事の時に異を唱えなかった貴女に文句を言う資格はないわ! 真名を許していない人間に決断を委ねた事を後悔なさい。北郷とやら私は約束は違えないわ」
「……一刀なんでや?」
「張遼、初めて会った時の事を覚えてる? あの時言ったよね? 俺は君を良く知っているって。大陸広しと言えども張遼を君を使いこなせる人間は少ない……君が望む世界を作れる人間に限定すれば尚更」

「ウチも言うたで、一緒にするなて。一刀の知ってるウチとウチは違うって!!」

「ごめん……これが最上の選択の筈なんだ。曹操様、宜しくお願いします」
 北郷が頭を下げる。
 その目尻が光っていたのを曹操は見逃さなかったが、敗者が勝者に意見するなど曹操の自尊心が許さなかった。
 それでも嫌味の一つは言わないと気がすまないのは性格なのだろう。
「後で返せと言っても返さないわよ。こういってはなんだけど、張遼の名声は私の領地にまで聞こえていたのよ。こんな名将を手放すなんて貴方は馬鹿ね」
「……そうかもね。でも馬鹿はもとからだと思う。張遼を宜しくお願いします……」

 北郷は礼を尽くし、趙雲とその場を辞した。
 残された張遼は肩を震わせ立ち尽くす。


 曹操の陣営を去り、足早に連合の支配下から抜け出すべく西へ向かう北郷だった。
 付き従う趙雲は躊躇いながらも言わずにはおられぬ性格に北郷へ言葉をかける。
「主……我慢するぐらいなら、思い切り泣くがよろしい。何故とは聞きませんし、慰めの言葉も今の私には持ち合わせがありませぬ……ただ、後悔だけはされませぬように。主も張遼も報われませぬから……」

「……な、泣いて……ないし……後悔もしていない……星こそ、情けない俺を見切るなら今だよ」
「主、身共にあらずとも心共にありと申します。張遼殿とは縁があれば、敵味方となったとしても再びまみえる日も来ましょう。また、忠は躊にあらず忠は柱なり……私は躊躇うことなく主を支えます……失礼します」
 趙雲は北郷を後ろから優しく抱きしめた。
 北郷は体をビクリと震わせるが振り払うことなく、趙雲の為すがままになっていた。
「……ごめん……心配かけて……」
「何をおっしゃるか? 完全無欠の主君などおりませぬ。また、居たとしても仕え甲斐がない。主は主のままで居てくれさえすればよいのです。心配する事も私の役割なのですよ」
「……なら……俺の役割は……」
「そうですな……私を大切にして下さること。私は物分りが悪い故、此度のような、張遼と同じようなことをされては自害してしまうでしょうな」
「!!」
 北郷は心臓が飛び出そうになった。心を読まれたのかと。
「最初は分かりませんでしたが、共に旅をし共有した時間が教えてくれました。主は途轍もない何かをご存知だ。それを少なからず張遼殿は知っていた。それが何故このような結果になるかまでは理解できませんが、主は『最上の選択』と申された。これは下策をとったことがあるということなのでしょう? そして、私の最上の選択も知っているご様子」
「……」
「二度は言いません。先程口にしたことは、私の真名にかけて本心だと言っておきます。さて、『最上の選択』の次はどうなさるのです? 当然、『最良の結果』を導く為に行動するのでしょう?」
「……星、本当に後悔しない? 行き着く先は地獄かもしれないよ」
「くどいですぞ。本当に地獄に行くと言うのなら、その水先案内人はこの趙子竜が務めましょうぞ」
「……ありがとう。甘えさせてもらうよ。この次が、この次があるのなら……この命、星に捧げるよ」
「勿体無きお言葉。その言葉、お忘れなきように」
「ああ、勿論だ。そうと決まれば、目指すは董卓陣営だ」
「御意!!」
 北郷は背後から回された趙雲の手に己の手を添えて決意を込めてグッと力を込めた。
 趙雲もまた、北郷の体を抱きしめる腕に力を込めた。


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tag : 真恋姫無双

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まったりとプレイ中・・・ではない
Web 恋姫†無想 張遼を育成中!
興行日程
05 | 2017/06 | 07
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11 12 13 14 15 16 17
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プロフィールなのか?

上原 柊

Author:上原 柊
画像は、玉倉かほ様の了承を得て貼らせて頂いております。

胡蝶の夢

誰も読んでないと思うけど、恋姫話は現在↑のところで書いてます。無謀もいいとこですが、、まあいけるとこまで行くぜって感じで。

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