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『エンジェルカップ』10日目 第一試合

「どうしまして? いきなり来るなんて聞いていませんわよ」
 市ヶ谷はインターホン越しに呆れながら話しかけた。
「いやあ、まあ、色々と事情があるんだよ」
「仕方ないですわね」

 ガチャンと切れると門が軋みながら開き始めた。

――市ヶ谷別邸

「で、話とは何ですの?」
 ソファーに腰掛けながら、優雅に振舞う市ヶ谷。他の誰かが同じようなことをすれば、鼻についたり馬鹿にされているように感じたのだろうが、市ヶ谷がすると様になってしまう。
「いや、綾のセコンドの件だけど、もう止めない? ちょっと苦情が入ってるんだよね」
 頭を掻きながら申し訳なさそうに言うのは、龍刃道場の会長である男性であった。
「何を言ってますの? そういう問題は貴方が処理するという約束でしたでしょう?」
「そらまあ、そうなんだけどさ」
「……少しお待ちになって下さらないかしら」
「え?いいけど何かあるの?」
「そろそろ、綾の試合ですの」
「そうだけど、TV中継してたっけ?」
「私の専用の中継を取ってますの。試合を見てから、問題を話し合いましょう」
「了解」
 市ヶ谷がリモコンのスイッチを入れると丁度試合が始まるところだった。

―――
――



『エンジェルカップ』10日目第一試合:<非公式戦>スペシャルタッグマッチ
 サキュバス真鍋(百鬼夜行)vsユン・メイファ(IWWF)
 榎本綾(龍刃道場)       野村つばさ(闘京女子プロレス



 リング上では、定番のボディチェックが行われている。
 真鍋と榎本は先に終わって待っているところだが、真鍋が相手に近づいて聞こえるように独り言をいいはじめた。
「あー、今日の試合は大変だよね~。何が大変かってそりゃ相手さんが地雷を踏まないようにあたしが試合をコントロールしないといけないもんねー」
 ユンも野村も真鍋の独り言など無視するつもりでいたのだが、次の一言が状況を一変させた。
「綾っぺがさー、本戦じゃないところで怪我したりぃ、ボッコボッコになったりすると“あの人”が黙ってないと思うんだよねー」
「!!」
「フンッ!」
 野村は顔面蒼白になり、ユンは知ったことかと顔を逸らせたが口元が若干引きつっているのを真鍋が見逃すはずはなかった。
 そんなこんなで、ボディチェックも終わり試合開始といく所なのだが、野村、ユン陣営がどちらが先鋒かと揉め始めた。
(しっしっしっし……ビビッてる♪ どうせ、公式戦じゃないし、利用できるものは何でも利用しないとね)
 真鍋が非常に嫌らしい笑みを浮かべている横で、榎本は首を傾げていた。
「真鍋さん、綾が先にでる?」
 榎本は、とりあえず聞いてみる事にした。
 他所の団体の人とタッグを組む機会がほとんど無いので、どうしたらいいのか分からないからだった。
「綾っぺはコーナーでジッとしてて大丈夫だかんねー。あたしがあいつ等をボッコボッコにして見せるから☆(キラッ)」
 どこぞで見たような決めポーズをすると榎本をコーナーに押しこんだ。
「あ、でも、呼んだら出てきてね♪ やっぱ二人で勝ちたいじゃん」
 真鍋は、試合開始後にリング内から榎本の方をポンと叩いた。
(なんか、富沢おねーちゃんみたい)
 なんとも的確な表現だが、口に出さないあたり団体でキッチリ教育されているのだろう。口は災いの元。
 相手もどうやら押し問答の末、真鍋が出てきたことで、ユンが先鋒に決まったようだ。

「あら~? 蟹でてこないんだ?」
 真鍋が挑発するも野村は聞こえないふり。
「無駄口を叩くな! いくぞ!」
 ユンが速戦即決とばかりに突っこんでくる。気にしていないようで、真鍋のうちに試合を決めたいというのがみえみえである。
「わっと、おっと」
 真鍋は大げさに避けたり、ブロックしたりと受けに回っていた。
 ユンはまともに遣り合おうとしない真鍋に苛立ちを覚えて、ついつい大振りな攻撃をしていまう。
「よしきた!」
 待てましたとばかりに、真鍋は上段回し蹴りをくぐり抜けると水面蹴りでユンの軸足を払いグラウンドへ持ち込む。
 粘着質な攻めをじわじわと繰り返す真鍋だが、時折、ユンの耳元で何かを囁いている。
 真鍋が囁くたびにユンの抵抗がみるみるうちに弱まっていくのが分かった。
「ちょっと、何やってんのよー」
 野村がカットに飛び出すのを見て真鍋はニヤリと笑うと――
「綾っぺー出番ー」
 榎本を呼ぶとユンを放して、野村に向かい通せんぼ。

 ユンも脱出チャンスとばかりに上体を起すが、これがなんとも榎本の必殺?のスライディングeの格好の餌食だった。

「えーいっ!!」

 可愛らしい掛け声とともに突っ込んでいく榎本だったが、ぶつかった衝撃は可愛くなかった。
 ユンにしてみれば、真鍋のグラウンドから抜け出た瞬間に榎本の技が飛んできたのだから堪らない。
 榎本はそのままフォールに移り、カウント3。
「やったー♪ 勝ったよ、真鍋さん」
「綾っぺ、ナイスー」
 二人はハイタッチをして喜び爆発。
 納得がいかないのは野村。
「ちょっと、ちょっと、榎本さん、試合権利ないでしょう? 出てきたばっかりだよね?」
 レフリーに向かって抗議するものの、主張は認められない。
「にゃははは、蟹っちわかってないねー。試合の権利ないのあたしだもん」
「はい?」
「試合開始直後に綾っぺの肩にタッチしたもん、あたし。で、そのまま戦ってただけだもんねー」
「ちょ、ちょっとそんなのありー?」

  サキュバス真鍋(3分15秒 スライディングe)ユン・メイファ×
 ○榎本綾    (      からの体固め  )野村つばさ

―――
――



「お、綾勝ってるっていうか、どう考えても相手の自滅とあの真鍋っていう娘が何か仕掛けてたね」
「……美しくはないですが、あんなものでしょう。それでどこの苦情ですの?」
 市ヶ谷は目的の試合が終わったので、TVを消すと話を戻してきた。
「えっと、闘京女子だったかな。今の試合にでてた野村って娘のところだったと思うよ」
「……で、貴方はどう答えたんですの?」
「とりあえず、無理って答えたよ。市ヶ谷さんが俺程度の言葉で自分の考えを変えると思えないし、今回はいつもの騒ぎとは少し違うだろ? だから、無理って思ったのもあるんだよね」
「ふん……まずまずの判断ですわね。まあ、貴方が困るようなことにはならないと約束しおきますわ。だから、最後まで上原さんの後ろへ引っ込んでいなさい」
「了解。なら、俺の用事は終わりだから帰るよ」
「好きになさい。ただ、これからは来る時は連絡を入れなさい。私は貴方のように暇ではなくてよ!」
「うぃーす。気をつけるよ」
 会長がやる気ゼロな風体で帰っていくのを市ヶ谷は見送った。

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