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龍刃道場の日常その1

――波乱の翌日

 龍刃道場は喧騒に包まれていた。
 エンジェルカップ開催セレモニーで、フリー参戦とはいえ現時点で団体に所属しているビューティ市ヶ谷が問題を起こしてしまったのだ。
 当然、朝から事務所に電話が鳴りっぱなしで応対に掛かりっきりになっていた。
 主にブレード上原が。

「ねえ、レイちゃん、今日はなんで集められてるの私達」
「そんなの決まってんるでしょ、昨日の件よ昨日の」
「でも、問題起こしたの市ヶ谷さんじゃん。私達に関係ないんじゃ?」
「そんなことないよ。共同開催なのにセレモニーであんなことしたら他団体との関係がこじれるよ」
 ヒソヒソをと顔を寄せ合って話しているのは仲良し同期4人の富沢、金井、永原、楠木だ。
「お前達、集合の話は聞いてるのか?」
(やばっ、寮長だよ)
(ちづる、寮の食堂の電気消した?)
(あー、忘れてた)
「寮長、おはようございます。話は聞いてます。これから向かう所です」
 4人に話しかけたのは、越後しのぶで彼女たちの先輩にあたる。
「楠木は礼儀正しいな。富沢、金井、永原、お前たちも楠木を見習え!! レスラーである前に1人の社会人として成長しなくちゃ駄目だからな」
(うー)
(寮長の話始まったら長いのよねー、ちづる止めなさいよ)
(な、なんで私が? 怒られるじゃん)
「お前達効いているのか!?」
「「「はい!! 聞いています!! 以後気をつけます!!」」」
 3人の声がぴったりと揃う。
「まったく……こんな時だけ息が合うのだな……」

 越後、富沢、金井、永原、楠木の5人が会長室に入ると既に上原を除く全員が集まっていた。
 全員と言っても、会長とサンダー龍子の二人だけだが。
「よし、全員集まったな」
 龍子が話を切り出そうとすると越後が申し訳なさそうに繰り出した。
「すいません。社長がまだなんですが……」
「あぁ、上原さんか……少し時間が掛かるみたいだからな、先に進めて置くようにとのことだ」
「そうでしたか。余計な事を言ってすいませんでした」
「構わないさ。しのぶのそういう所が私の欠けている部分を助けてくれている、気にするな」
「はい。ありがとうございます」
 龍子は越後に声をかけた後、全員を見渡すと改めて話し始める。

「皆に集まって貰ったのは、今日は久しぶりに会長から話がある。心して聞くように」
 龍子はそういうと一歩下がる。

「やあ、久しぶりだね、みんな。元気にしてたかい?」
 そんな軽い挨拶から始まった。
「龍子が言っているほど大した内容じゃない。要は越後達と上原さん、龍子の2組に分かれて行動して貰う。越後達はエンジェルカップに集中してもらい、龍子達には毎年恒例の海の家を越後達の分までやってもらう」
 富沢はじめ若手4人がざわめき始めるのを越後が抑え付ける。
「まあ、ファンサービスも含めてなんだが、今年は本気で稼ぎに行く!! グッズ販売も同時に行う!!」
 会長は興奮気味に捲くし立てる。
 それを見て、越後が申し訳なさそうに話しかけた。
「会長、お言葉ですが、それだと龍子先輩と社長の二人では人数不足なのではないでしょうか?」
「お、流石、越後だ。いいところに気がついた。そこでだ、富沢に二役やってもらうことになっているんだ。試合もないのでセコンドとバイトなら負担も少ないだろ」
「しかし、それでは不公平では? 若手にはセコンドも経験の一つです。何でしたら、自分が富沢の代わりもしても構いませんが?」
 普段は厳しい越後だが、いざとなれば後輩達のフォローを積極的に行うところ彼女の優しさなのだろう。
「大丈夫だ。越後こそ試合があるんだからそっちに集中してくれ。それにこの任務は富沢にしか出来ないからな、富沢頼めるよな?」
「ハイッ!! まっかせてよ!」
「はあ、会長がそう仰るのであれば従います」
 生真面目な越後らしい反応だった。会長と富沢のアイコンタクトに気付かなかったのは仕方がないのだろう。
「でだ、皆に聞きたいのだが、龍子がバイトする時の水着はどちらがいいと思う?」
「なっ!?」
 龍子の驚きを無視して、会長が取り出したのは白い三角ビキニで胸の部分に龍の刺繍入りと黒のセパレートのチャイナ服っぽい水着だった。
「ああ、こっちのチャイナ版はしたがパレオになってるんで着脱可だから」
「な、な、な、な、な、な、何を言ってるんだぁぁ!!」
「QTはぁ、ビキニの方がいいと思うよ。龍子さんスタイルいいし、白って普段のイメージと逆だから目立つかも」
「美加わかってるじゃん、白と龍子さんのギャップ萌えだよ。でも、チャイナも捨てがたいなぁ」
「でもさ、海の家って皆でよく行く陳さんが、だしてるんでしょ? だったらチャイナの方がいいと思うけどなー」
「どちらも似合うと思いますけど、どちらかといえばチャイナですね。去年の感謝祭のチャイナ服が似合ってましたし」
 龍子が恥ずかしがっているのにもかかわらず、会長と若手4人は盛り上がりを見せる。
「会長!! 止めてください!! ラフな格好でって話だったでしょう!! 越後も見てないで助けろ!!」
「そうだ、越後はどっちが似合うと思う?」
「……自分は、白が似合うと思います」
 傍観していた越後は、龍子と会長を見比べて申し訳なさそうに答えた。
「しのぶぅ……」
「すいません、自分は体育会系なもので」
 龍子が恨めしそうに越後睨むが、越後も上官命令は絶対ですとばかりに頭を下げた。

「会長、すいません! 遅くなりました!」

 一礼して入ってきたのはブレード上原だった。
 入ってきて早々に、混沌としている様と落ち込んでる龍子を見て大体の事情を察する。
「会長、バイトの件ですが、衣装は水着禁止ですよ」
「なにぃーーーー!? そんなの聞いてないぞ」
「ホント!?」
 愕然とする会長と心底ホッとした表情を浮かべる龍子。
「聞いてないって、会長は遊んでて私に任せっきりでしたでしょう? 今年からそういう決まりになったんです」
「なんで?」
「なんでって、去年、一昨年と海の家の多くで痴漢というかセクハラというかそういう問題が急増しまして、今年は試験的に中止になりました。実際、私も被害を受けましたので、仕方がないかと思います」
「そ、そんな……馬鹿な。わざわざ特注したこの水着をどうすればいいんだ。上原さんのも用意してたのに……」
 会長が肩を落としている横で、龍子がガッツポーズをしていたのはご愛嬌。
「そうそう、会長」
「なに?」
「その水着の代金は経費じゃ落ちませんので、会長の自費でお願いします」
 にこやかにトドメの一撃を放つ上原。
「ガ、ガーーーーン!!」
 口から魂が抜けていく会長は机につっぷしたまま動かなくなった。
「はい。みんな多少の変更はあるけど、二班に分かれるのは決定事項だ。富沢は会長に何を頼まれたかは知らないが、程々にしておくように。あまりに酷いと庇ってやれなくなるぞ」
「は、はーい」
「皆に言っておく、肩肘張らずにいつもしている事をいつも通りに出来れば結果はついてくる。では、解散!!」
 上原の号令で部屋から次々に出て行く選手達。

 しばらくして残ったのは、燃え尽きた会長と龍子、上原の三人だった。
「上原さん、助かりました」
「事実を伝えただけだ、気にするな。でも、勿体無いことをしたか」
「え!?」
「龍子の女の子らしい姿を見損ねた事だよ。私としては白をオススメするが?」
「ちょ、ちょっと! 上原さんまで何を言い出すんですか!!」
「先輩の助言というか社長としての判断?」
「いや、疑問形でいわれても……私を弄って楽しんでます?」
「そんな事はないな。龍子は素材も良いし、もう少し男性ファンを捕まえてくれると社長としては助かるかな」
「……本音は?」
「私だけじゃ悔しいから、龍子にも経験させたかった」
「上原さん!!」
「悪い悪い。でも。素材がいいのは本当だ。プロレスもいいが、女も磨けよ。私みたいになる前にな」
 自嘲気味に上原はおちゃらけてみせるとこれで話は終わりとばかりに切り上げた。
「さあ、早速、今日からバイトだぞ。しっかり働いてくれよ」
「それはまあ、やりますよ(……上原さんで女が磨かれてないってんならどうすりゃいいんだよ)」
「ほら、初日は色々覚える事があるんだ。つっ立ってないでさっさと行くぞ。終わったら会場入りして若手の応援だ。やることは山ほどあるぞ」
「了解!!」

 貧乏暇なし

 そんな言葉がバッチリ似合う龍刃道場。
 敏腕ではないけれど、頑張り屋さんの上原社長。
 強面で通っているけど、実は乙女なサンダー龍子。
 そんな二人が率いる龍刃道場は、真赤に燃える自転車操業(笑)

 会長? あんなの飾りですよ。偉い人にはそれが分からんのです(笑)

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上原 柊

Author:上原 柊
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