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【エンジェルカップ】開催セレモニー

――大阪府立体育センター別館

 収容人員2000名の会場。
 メジャー、インディ問わず関西興行の基点として使用される会場である。
 今日ここで行われる「ニブルヘイム」というイベント興行のためのものがそこにはあった。
 四角いリングである。

 しかし、そのリング上と周囲に陣取るのは興行主ではなく、日本全国の団体から選ばれし若きレスラー達。
 エンジェルカップと称される大会が開催され、その開会式が今まさに行われているところだった。

(セレモニーの詳細は,こちらのHIGEさんの記事でご確認を)

「以上8名により『エンジェルカップ』ジュニアトーナメントを争って――」

「おーーーーーーーーーーーーーーほっほっほっほっほっほっ!!」
 
 突然の大音響の高笑いに会場が驚きに包まれる。
 ごく一部の人間を除いて。
「……市ヶ谷ぁ……」
「あの馬鹿お嬢!! アレどうするんです? 上原さん」
 所属選手と共に会場に来ていたブレード上原とサンダー龍子が頭を抱える。
 すぐさま止めに入るべきなのだが、今日は脇役と決め込んで2階に陣取っていた為反応が遅れた。


 そんな二人の苦悩をお構い無しに会場に響き渡る声。
「ちょっと、お待ちなさい!! 誰に断わってこんなちんけな大会を開いているのかしら?」
 会場の入り口がバタンと開き、そこから胸元を強調しまくった深紅のドレスで入場してくる一人の女性。
 ここにいたって会場の全員が、声の正体を知ることになる。


――ビューティ市ヶ谷
 カリスマ、センス、パワーとどれをとっても世界に通用する国内を代表するプロレスラーなのだが、その長所を全て打ち消すほどの奔放さを持ち合わせている。
 そのため、王座戦の会場変更や防衛戦ボイコットなどその時の気分次第で好き放題する為に、所属団体を転々としていた。
 最近は何を思ったのか、問題ごとを起す事もなく、龍刃道場にフリー参戦しており業界関係者は胸を撫で下ろしていたものだったのだが……。


「大体、こんな華のない選手ばかり集めて何をしようと盛り上がりはしませんわ」
 突然の乱入に選手達はどう対応したものかと戸惑いを隠せない。
 同列の人間ならばまだ対応のしようもあったのだが、出てきたのが大物すぎた。
「しかし、この私にいい考えがありますの。タッグやシングルにも問題はありますけど、特に、特にジュニアトーナメントは論外ですわ!!おチビちゃんばかり集まってお遊戯でもするのかしら?」
 あまりの物言いに流石の選手達も頭にきたようで、ざわつき始める。
 そんな中、怖いもの知らずというか、口撃力に定評のあるサキュバス真鍋が噛み付いた。
「ちょっと、縦ロールおばさん! 言いたい放題行ってるけど、おばさんの体重じゃジュニアに出られないんだから黙っててくんないかな~」
「なっ、な、な、何ですってー!! おばさん……」
 市ヶ谷相手にここまで暴言を吐ける人間といえば、マイティ祐希子ぐらいしか思いつかないが、彼女でもここまで悪意をもって言わないであろう暴言をさらりと吐く真鍋。
 周囲の人間も別の意味でざわつき始める。
 当の市ヶ谷も額に血管が浮かび上がり、今にも爆発寸前といった様子。普通であれば、ここが引き際なのだが真鍋は普通ではなかった。
「プルプル震えてるけど、更年期障害? にゃはははは。おばさんは大変だよね~~」

「……予定変更ですわ……」
 地の底から響いてくるような呟き。

「あれ~? 自分のしたいことも忘れちゃった? やっぱ、歳じゃん。にゃははははは」
 周囲は市ヶ谷の怒りゲージが見えているようで、完全に静まり返っているが真鍋は気付かない。
「本来なら、そこの蟹頭のちびっ子にご退場願って、私の代理を送りこむ予定でしたの。けれど、どうやらこのトーナメントに相応しくない人間がいますわね」
「ん? それ、アンタじゃん! にゃはははは」
 真鍋は止まらない。
「このままご退場願ってもよろしいのですけれど、それでは私の気が収まりませんわね。ということで、そこのちびっ子、貴女辞退なさい」
 真鍋の対戦相手に決まっていたターニャ・カルロスを指差し一方的に告げる市ヶ谷。
 しかし、相手も遊びで日本にきている訳ではないので、当然拒否をする。
「そうですの。親切で申し上げたのに仕方がないですわね。主催者! このトーナメントへの出場権を賭けた試合を設定なさい。私の代理、榎本綾との試合を!!」
 市ヶ谷が司会を務めていた黒服にこれまた一方的に告げるとすぐ後に、コミカルな入場曲が流れてくる。

 榎本綾の入場曲【ALL my LOVE】だ。

「にゃははははははははははは!! なに? あのちんまいのがおばさんの代理? 無理だってあんなの誰にも勝てないって!」
 そう、所属団体で第0試合専門でお笑い試合をこなしていることは、業界人なら周知の事実。
 誰もが榎本の姿を見てそう思った。
 当然、理不尽な試合を一試合組まされることになったターニャも例外ではなかった。
「なら、試合を組んでも問題ないですわね?」
 ジュニアトーナメント参加者全員が頷く。人騒がせして目立ちたいだけなのだろうと市ヶ谷の行動を勝手に解釈したのだ。
 しかし、すぐにこのことを後悔することになる。


「綾? 登録もしていないのに何故?こんなことが認められる?」
 上原は主催者側へ講義する為に走り出した。榎本はまだまともに試合が出来るほどじゃないというのが上原の考えだから。
 しかし、事態は予想だにしないことになっていた。
「選手登録がされている? 馬鹿な! 私は登録していないぞ! ちょっとそれを見せてくれ!!」
 男性スタッフのファイリングを奪い取った上原は、見覚えのある筆跡を見つける。
「……市ヶ谷が……どうして……綾に投函してくるように頼ん――」
 上原は思い出した綾に一緒に市ヶ谷への届け物を一緒に頼んだことを。
「あの時、綾が市ヶ谷の家に先に寄ったのか……そして、私の手紙を読んだならこの行動は納得がいく。綾をまきこんだな……」
「あのよろしいですか……」
 申し訳なさそうに上原にファイルの返却を求めてくる男性スタッフ。
「ああ、すまない……」


――5分後

「それでは、只今よりトーナメント出場権を賭けた特別試合を行います」
 黒服の宣言で両者がリン上で対峙する。
 やや、緊張気味の榎本に対して、余裕の表情を浮かべるターニャ。
「あ、綾、負けないよっ」
「すぐに終わらせる!」

 両者ボディチェックが終わり、すぐに試合開始かと思われたのだが……。
「綾、ちょっといらっしゃい」
「ん? 何? 市ヶ谷さん」
 トテトテっとコーナーへ戻ってくる榎本。
 その榎本に耳打ちする市ヶ谷。
「セコンド下がって」
 レフリーの注意が飛び、珍しく指示に従う市ヶ谷。

 カーン!

 試合開始のゴングが鳴る。
 序盤から押せ押せのターニャ、打点の高いドロップキックに巧みなロープワークで榎本に何もさせない。
 通常の興行であれば、ターニャが試合をコントロールしてそれないの見せ場を作って盛り上げていくのだろうが、今日は全くそのつもりが無いようだ。
 試合開始5分もせずに、榎本はフラフラになっていた。

「うぅぅ……」
 榎本は我慢していた。
 市ヶ谷から指示された唯一の反撃の機会をじっと待っていた。
 そして、その機会はやってきた。
 自コーナー側のロープを背に相手の大技を喰らったのだ。
 ニールキックを避けずにまともに受けてダメージを回復する為に場外に逃げる榎本。当たり前の動きで誰も疑わない。

「決める!!」

 場外でふらつく榎本にトペコンでトドメを刺しにいったターニャ。
 誰しもが榎本の場外KOの姿を思い浮かべたその瞬間、悪夢が舞い降りた。

「きゃっ!」

 飛び込んできたターニャと榎本の間に割り込んだ市ヶ谷が易々とターニャを抱きとめて、そのままシュミット式バックリーカーに移行。
 その隙に榎本がリングへと復帰し、レフリーと市ヶ谷の間に入りブラインドを作った。

「あらあら? 大丈夫ですの? 場外への飛び技は危険でしてよ。わたくしが居なければ自爆して大怪我している所でしたわね?」
 呻いているターニャの髪の毛を掴むとそのまま起き上がらせざまにニーリフトをぶち込む市ヶ谷。
「ぐふっ……ぁぁぁ」
 市ヶ谷は、不敵に微笑むと気楽に観戦を決め込んでいた真鍋に微笑んでみせた。
「そら、リングにお帰りなさい。綾が待ちくたびれていますわ」
 無理矢理リングへ戻らされたターニャは、上半身を起こすぐらいしか力が残っていなかった。
「いっけぇー!!」
 その体勢は、綾の必殺技スライディングeの格好の餌食だった。
 体の小さい榎本でも、ロープの反動と全体重を預ける形になるエルボーは同じジュニアなら十分たる威力を発揮した。
 まあ、本人が開発した技ではなく、同じ団体の越後しのぶのスライディングEのパクリなのだが、真似されている本人が何も言わないので公認の形で使っている。

「このままっ!!」

 体を預けるようにフォールに移る榎本。
 ターニャにこれを返す体力は残っておらず、非情の3カウント。

 会場はまさかの榎本の勝利に自分たちが犯した過ちにようやく気がついた。

 間接的だが、ビューティ市ヶ谷の参戦を認めてしまったのだと。

「ち、ちょっと!? こんなのありぃ? ズルイじゃん!! うそぉーマジで?」
 真鍋は慌てるしかなかった。
 洒落になってないって……。
 心の中でそう呟いた。



大阪府立体育センター(別館) 観客 52人

緊急特別試合(エンジェルリング出場者決定戦)

×ターニャ・カルロス (スライディングe⇒体固め) 榎本 綾○

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興行日程
09 | 2017/10 | 11
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上原 柊

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