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第十戦:明日のちづると逢うために

「やってきました最終戦! 11月中に終わらせようというのが見え見えの更新ですね。というわけで、いつも通り実況はこの私、富沢レイでお送り致します。それと、最終戦のゲストを紹介しましょう。サンダー龍子さんです」
「よぉ。ま、よろしく頼むよ」
「何故か今日は無観客マッチですがどうしたんでしょうか?」
「まあ、言わなきゃわかんねーんだから言うなよ」
「いえいえ、状況をつぶさに伝えるのが仕事ですから」
「よくいうぜ、いままでも大したことしてねーだろ?」
「これはキツイお言葉! しかし、こんなことではめげない富沢です! で、どうしてです? あ! まさか? ついにエロエロマッチ?」
「なんで、そうなるんだよ! 違うよ。相手を見てみな」
「は、はい……えー!? 上原さんですか?」
「そういうこった。まあ、本当は私が相手する予定だったんだけどな、上原さんがどうしても代われって言ってこうなった」
「それはまたどうして?」
「まあ、あの人らしいというか、ちづるの成長を肌で感じたいんだと」
「ということは……試合ですか?」
「馬鹿いうな。私ですら勝てるかどうか怪しいのに、ちづるでどうにかなるもんでもないから変則のスパーリングだよ」
「勝敗は?」
「相手より先に技をかけられるかどうかだな」
「それだけ?」
「ああ、それだけだ」

――リング上では

「え? 上原さんが相手なんですか?」
「そうだ。なにか不満でもあるか?」
「い、いえ、そんなことはないですけど……」
「けど、なんだ?」
「……いえ、今日はよろしくお願いします!!」
「ああ、よろしくな。勝負方法は簡単だ。どんな技でも先にHITさせた方が勝ち」
「はい」
「何か聞きたいことはないのか?」
「ありません。勝ちます。それだけです」
「……いい目をしている。龍子、合図を頼む」

「はい、分かりました! いっくぜー」

 カーン!

 上原と永原は距離を置いて対峙する。
 キックを放つには遠く、かといってタックルに行くには膝の迎撃が十分に間に合う微妙な距離。
 総合力で勝る上原はどのようにでも対応できるが、永原にとってはタックル一本しか道はない。
 厳密に言えば、選択肢はいくつもあるのだけれど、永原の頭の中にはタックルしかない。
 タックルで相手が倒れれば関節にいき、踏ん張れば本命のジャーマンスープレックスにいくと決めているのだろう。
 じりじりと間合いを詰めにかかる。

(思ってたより磨かれたな……南と市ヶ谷の説教が効いたか?)

(……隙がない……でも、私にはタックルしかない。半端な技を出すより、一番自信のある技を初手にもっていくんだ)

(見えているようだな。いつもならとりあえず飛び込んでくるのにな)

(……我慢しろ、私。絶対にチャンスは来る……)

「龍子さん?」
「なんだ?」
「両者全く動きませんね?」
「いや、動いてるぞ」
「え!?」
「ちづるの奴、1センチ単位でジリジリ間合いを詰めてやがる。我慢を覚えたな」
「それに上原さんは?」
「気付いてるさ。プレッシャーをかけながらちづるの動きをみているからな」
「でも、大丈夫です? ちづるの奴、馬鹿ですけど、タックルからの攻めは一級品ですよ」
「だろうな。でも相手が悪い。今日ばっかりはな……動くぞ」

 一分が一時間にも思える緊張感に包まれた空間に歪が出来た。

(そろそろ、誘ってみるか……)

(!! 上原さんの重心がずれた? いや、誘いか――)

 シュッ

 風切る音と共に鋭いローキックが繰り出される。

「ひゃっ!!」

 辛うじて交わす永原。

「どうしたちづる? 私からは仕掛けないとでも思ってたか?」
「……(いつ踏み込まれた?)」
「センチ単位で間合いを調整してたのはちづるだけじゃないぞ」

(嘘だ……私見てたけど、分からなかった……私より細かく動いてた?)

「ルチャを甘く見てもらっては困るぞ。相手との距離感がモノをいうのだからな」
「くっ……」

 上原の言葉に身体が縮こまる永原。

「……(まだ早かったか)」
 上原は残念そうに眉をひそめた。

(ったく、最後まで世話焼かせやがって)
「ちづる!! ビビッてんじゃねーぞ!! 我慢を覚えた事は褒めてやる。けどな、アレコレ考えられる程、実力はついてないんだ! 隙だろうが誘いだろうが構うな! ガツンと行けよ!!」

「龍子さん……よし!!」
 自分の頬をパンと両手で張って気合を入れなおす永原。
「いいのか? 待つのはこれで最後だぞ?」
「はい! すいませんでした!! 永原行きます!!」

 再度の対峙。
 間合いは、既にタックルの間合い。
 問題は永原がいつ仕掛けるのか?

(……龍子の一声でどこまで吹っ切れたのか試させてもらおう)
 上原は少し、ホンの少しだけ重心を後ろへ移した。
 すると、ほぼ同時に“ダンッ”と永原が一気に踏み込んできた。マットすれすれの低空タックル。スピード、タイミング共に良し。
「っ!!」
「がぁ!!」
鈍い衝撃音と共に上原の身体が宙に舞い、永原の身体が前のめりに崩れ落ち、一瞬遅れて上原がくるりと前転して片足で着地する。

カンカンカーン!!

「え? 決着ですか?」
「そこまでー。上原さん、いいですよね?」

「ああ、氷嚢を二つ頼むよ」

「了~解……って、二つ?」

「二つだ」

「もしかして? 最後のってちづるを避ける為のジャンプじゃなく、吹っ飛ばされました?」

「龍子の余計な一言でちづるが吹っ切れたせいかな……急いでくれよ、氷嚢」
 上原はニヤリと笑うと早く氷嚢を取りに行けと龍子を急かした。
「こりゃ、私もうかうかしてられないか……富沢、ちづるを診てやってくれ。歯の一本や二本折れていてもおかしくないからな」
「は、はい」

 第十戦
 △永原ちづる(変則スパーリング)上原今日子△
 膝蹴りとタックルの相打ちのドロー

最終戦績
1勝7敗2分け

これにて、永原ちづる試練の十番勝負終了。

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No title

うんうん、これでちづるも一皮剥けたかな?
やっぱり、あれこれ考えるより、自分を信じて全力でぶつかる方がちづるらしいと思います

後は、この話の後日談と例の上原さん問題の話を楽しみにしてますね

ちなみに、最後の相手が上原さんなのは、予想通りでした(笑)

No title

無事に完結しましたね。お疲れ様です。

色々な相手と向き合う事によって成長できたみたいですね。

さて、次は上原さんと駅伝でしょうか・・・・これもうちのチームも絡みそうですし・・・気になります。

豆腐屋の哲さんへ

勇往邁進なちづるをご覧下さいといった感じでしょうか。
あくまで、真っ直ぐに突き進むのが、ここでの永原ちづるという女の子です。


> 後は、この話の後日談と例の上原さん問題の話を楽しみにしてますね
気長にお待ちください。
頑張りますよ。ネタは引っ張り続けますから。

> ちなみに、最後の相手が上原さんなのは、予想通りでした(笑)
え?バレバレ?

Dolphinさんへ

ありがとうございます。
無事完走しました。
成長したはずです。
勇往邁進が座右の銘の永原ちづるをよろしくです。


> さて、次は上原さんと駅伝でしょうか・・・・これもうちのチームも絡みそうですし・・・気になります。
ほんと、どうしましょうかね。
まだ、前回の駅伝の結果をネタで引っ張ってるんで(笑)
まったりとプレイ中・・・ではない
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なんとなくやってみた。頑張った。
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