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『エンジェルカップ』13日目 第三試合


――試合前

「美加、私絶対に負けないよ」
「QTだって!! 悠里にだけいい格好させないもん」
 楠木が金井を誘って外に出ていた。
 別館の裏口は大通りから外れていて、この時間帯では人もまばらだった。
 リーグ戦の最終戦が同門対決になっていて、金井は決勝進出の目はないが、楠木はこの勝敗次第で決勝進出もありえるのだ。
 ファンの大方の見方としては、金井が楠木のアシストをしてすんなりの決着と予想していたし、団体の威信が掛かっているとなれば問題ないことだとも思えた。
 だが、本人達はそれでは納得いかない。
 だから、楠木が金井に宣戦布告し、金井も大会での成長をみせるようにその宣言を真っ向から受け止めたのだ。
「悠里、ぜ、全力だよ。QT怖いけど、QTだって成長してるんだから。悠里に勝つなんて、ど、どうってことないんだから!!」
 本当に怖いのだろう。でも、勇気を振り絞って同期であり、親友であり、ライバルである楠木に手抜きは無用という金井。
「勿論だよ。私もこの大会で色々と学んだよ。それに私はプロレスが大好きなんだ……それをもう裏切ることは出来ないよ」
 楠木も金井の心を受け止めて断言をする。
「悠里、最高の試合しようね」
「最高の試合をしよう」
 金井が右手を差し出すと楠木が握り返す。
 そして、どちらかとも無く手を離すと二人は勝負師の顔になり、それぞれの控え室に帰っていった。

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龍刃道場の日常その8

――龍刃道場裏口

 楠木悠里は建物の影でジッと座っていた。
 何するでもなく座っているその姿を見て、龍子は声をかける事にした。自分の柄ではないとは思ったが、自分の役目ではあると思ったからだ。

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『エンジェルカップ』11日目 第六試合

「相変わらず地味ですわね」
 前回と同じく山奥の体育館での開催にボヤくフレイア鏡。
 彼女にしてみれば、消化試合の一戦でメインに据えられたところでやる気など起きる筈もなかった。


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龍刃道場の日常その7

――龍刃道場にて

「六角コーチ、どうだい悠里達は?」
「葉月でいいのに。相変わらず固いなあ」
上原と六角、誰もいない道場に二人で座っていた。
旧友でもある二人だが、今は、雇用者と被雇用者の関係。
六角は全く以って気にしないが、上原は性格上、そうはいかないようだった。
それでも、団体では龍子や会長とは違う意味で、腹を割って話せるのが六角葉月という親友なのだ。

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『エンジェルカップ』10日目 第一試合

「どうしまして? いきなり来るなんて聞いていませんわよ」
 市ヶ谷はインターホン越しに呆れながら話しかけた。
「いやあ、まあ、色々と事情があるんだよ」
「仕方ないですわね」

 ガチャンと切れると門が軋みながら開き始めた。

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龍刃道場の日常その6

「……」
 寮のある部屋の前でドアに手をかけては引っ込め、引っ込めてはまたドアに手をかけるという挙動不審な者がいた。
「……今更、どう声をかけたらいいのかな……」
 ドアから離れると今度は、ウロウロと落ち着き無く歩き出す始末。
 そんなところに部屋の主が帰ってきた。

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『エンジェルカップ』8日目 第五試合

「与えられた仕事をこなすとしよう」
 そう呟いてリングに向かうはTNA所属中森あずみ。
 仕事人の異名は、一撃必殺のアンクルロックに由来すると思われているし間違いないのだが、本当の意味する所は別にあるのだ。
 辣腕と業界では名高いTNAの代表が、頼りにする人間は二人おり、その一人が中森なのだ。
 興行においては、確かにスター選手は必要だが前座からメインまで同じ傾向が続いては飽きてしまう。
 どんな大好物でも同じものばかりでは飽きてしまうのだ。それを調整できるのが中森というレスラーだ。
 今回の興行で求められているのは、メインの鏡の試合をいかに際立たせて成功を収めるかという事。
 その相手は誰かと言えば、試合をこなす度に成長著しい龍刃道場の楠木悠里。その彼女と白熱した試合をというのが仕事内容で、当然のことながら勝てるなら勝てとの事。
 若手にそんな指示を出すのも酷なのだが、中森は首を横に振る事はない。困難であればあるほど中森はその仕事をやり遂げて自身の成長の糧としてきた。
 それは、取りも直さず打倒フレイア鏡という目標の為なのだ。

 8日目 第五試合
 楠木悠里(龍刃道場)vs中森あずみ(TNA)


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龍刃道場の日常その5

――社長室

「へえー、いい部屋だね~」
 落ち着きなくキョロキョロと周囲を見回す六角。
「それは、貧乏団体に対する嫌味か? 葉月」
 珍しく不機嫌さを隠さずに言葉を吐き出す上原。これは珍しい。
「はははは、かけてる金額の多寡じゃなく、雰囲気の問題。相変わらず刺々しいねえ~」
「刺々しくさせてるのは誰なんだ!? 葉月を呼んだのは永原達を怪我させる為じゃないぞ!! 分かってるのか!?」
「分かってる分かってる。コレ対策だろ? 眉毛ちゃん」
 頭から湯気が出そうな上原を前に飄々とした態度を崩さない六角が極め技をする振りをしてみせる。
「ま、眉毛って言うな!! どうしていつもいつも……」
 肩で息をしながら半分諦め顔の上原は言葉を失っていた。
 上原も長年この世界で生きてきて癖の多いプロモーターを相手にしてきた。そんな経験すら六角を前にしては無いも同然だった。
 新女のパンサー理沙子を除けば、上原をここまでおちょくれる人物は業界でもこの六角ぐらいにものだろう。
「そうそう心配しなさんな。あの小娘達に怪我はさせてないよ。ちょっと予習をしただけさ」
「……」
 六角は生徒の実力が分からなければ教えようがないと間接的に言っているのだ。

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『エンジェルカップ』7日目 第六試合

「よし、今日もいっちゃうよー♪」
 元気良く花道を駆け出してくるのは小縞聡美。
 その細身で抜群のスタイルからは信じられないパワーの持ち主である。

「一戦一戦、大切にいきます」
 反対側の花道を静かに歩を進めるのは、内に静かなる闘志を燃やす楠木悠里。
 恵まれた体格から繰り出されるパワーは日本人離れしており、期待の若手である。


『エンジェルカップ』7日目 第六試合
楠木悠里(龍刃道場)vs小縞聡美(闘京女子プロレス)



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龍刃道場の日常その4

――社長室にて

「ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」
 越後が頭を下げる先には上原と龍子の二人が居た。
「大したことがなくて良かったな」
「ああ、全くだ」
「ありがとうございます!!」
 上原は笑顔で龍子は相変わらずの仏頂面だが、二人とも心底心配してくれていたのをしっている越後は改めて頭を下げた。
「そうそう、闘京女子の社長が見舞いに来て下さったぞ。内田選手も詫びを入れたいとの事だったが、丁重にお断りしておいた」
「そうですか。自分が大げさにしてしまったようで申し訳ないです」
 上原は経験が長い分、こういうことは慣れっこだが越後にしてみれば初めての経験でどう対応したらいいのか分からない様だった。
「なあに次の試合で、しのぶお前が元気に試合しているところを見せればいいんだよ」
 とは龍子の弁。多少の怪我でもお構い無しにリングで暴れるサンダー龍子ならではの回答だった。
「はい」
「それに、練習さえキッチリしておけば、故意に怪我をさせようと思わないかぎり大怪我はしないもんさ。練習は自分を裏切らないぞ」
「そういうことだ。あと2試合、悔いのないように頑張れ!」
「はい!」
 上原と龍子の激励に少しホロリときた越後だったが、気合を入れて返事する事で何とか堪える事が出来た。

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まったりとプレイ中・・・ではない
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興行日程
07 | 2010/08 | 09
1 2 3 4 5 6 7
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プロフィールなのか?

上原 柊

Author:上原 柊
画像は、玉倉かほ様の了承を得て貼らせて頂いております。

胡蝶の夢

誰も読んでないと思うけど、恋姫話は現在↑のところで書いてます。無謀もいいとこですが、、まあいけるとこまで行くぜって感じで。

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